TOP BLOG マウスピース矯正ができない6つの具体例を解説【歯科医監修】治療できない場合の対処方法についても紹介 マウスピース矯正ができない6つの具体例を解説【歯科医監修】治療できない場合の対処方法についても紹介 マウスピース矯正ができない6つの具体例を解説【歯科医監修】治療できない場合の対処方法についても紹介 マウスピース矯正は、透明で目立たず体への負担が少ないため、矯正人口が増加傾向にある方法です。 マウスピース矯正の主なメリットは以下のようなものがあります。 治療期間が短い 痛みや体への負担が小さい 透明で目立たず、見た目に気を遣える 取り外し可能なのでしっかり歯磨きができ、清潔を保てる 金属アレルギーの心配がない 口が傷つくことや口内炎などの口のトラブルが少ない ストレスなく食事が摂れる しかし、マウスピース矯正は誰でもできる矯正方法ではありません。 「自分はできるのだろうか……」「できない場合は諦めるしかないのか……」と、不安を感じていませんか? そんな方のために、マウスピース矯正ができない例とその対処法について紹介します。 ぜひこの記事を参考に、ご自身ができない例に当てはまるか確認してみてください。 なぜマウスピース矯正ができないケースがあるのか マウスピース矯正は、歯全体を大きく動かすのではなくピンポイントに作用させる矯正方法です。 取り外し可能なので歯を磨きやすい、マウスピースは透明で目立ちにくいといったメリットがあります。 しかし、歯を大きく動かすことを苦手とする方法でもあります。 その特徴から、適用となる症例が限られ矯正できないケースがあります。 実際にどのような事例がマウスピース矯正に適していないのか解説します。 マウスピース矯正ができない事例6選 事例 矯正できない理由 重度の歯周病 歯肉炎が悪化して、根元から歯の組織が溶けて歯が抜けてしまう危険性がある。溶けている歯茎では歯体移動ができない。 多くの抜歯が必要 抜歯した部分に歯の分の大きなスペースが空き、歯の大きな移動が必要になる。 重度の叢生である 重度の叢生は大幅な歯体移動や複数の抜歯が必要になることがある。 混合歯列期である 将来の歯の生え方が不明確であり、矯正により不自然な歯の生え方になる可能性がある。 インプラントが入っている インプラントの歯は矯正による移動が不可能。複数ある場合は制限が増えてしまう。 外科手術が必要である 多くの症例に骨格異常が見られ、そもそもマウスピース矯正では効果を得ることが難しい。 重度の歯周病 重度の歯周病になっている方は、マウスピース矯正が適用されない可能性があります。 重度の歯周病のままマウスピース矯正をしてしまうと、歯周病がさらに悪化する原因になるからです。 歯周病では歯茎が痛むだけでなく、歯の根元の骨(歯槽骨)や組織が溶けていきます。 最終的に、グラついた歯は抜け落ちてしまうのです。また、歯周病が進行している状態での歯の移動はできません。 根元の歯や組織が壊れてしまうことで移動しても固定できないからです。 マウスピース矯正を検討している場合は、先に歯周病を改善しておく必要があります。 多くの抜歯が必要 マウスピース矯正は歯体移動の距離が短いため、多くの抜歯が必要なケースに向きません。 歯体移動とは、大きなスペースを埋めるための歯の平行移動のことです。 抜歯する本数が多いと、その分スペースが広くなるため、歯体移動の距離も長くなります。 抜く本数によってはマウスピース矯正の適用に入らない可能性があるので注意が必要です。 また、抜歯数が多い時に無理に行ってしまうと、無駄に多くの治療費や治療期間を要してしまう可能性があります。 思うような結果が得られないといったことを避けるためにも、事前に必ず確認しましょう。 重度の叢生である 叢生とは、先天的又は後天的な理由で歯並びが乱れ、ガタガタになっている状態です。 顎の小さい人や歯のサイズが大きい人に見られる「歯間の空間不足」が原因と言われています。 重度の叢生を矯正するためには、歯全体の大幅な歯体移動が必要です。 また、歯間を広くするために、人によっては複数の抜歯が必要になります。 マウスピース矯正は大規模な歯体移動や、複数の抜歯が必要な場合には適しません。 基本的に叢生にもマウスピース矯正は適用されますが、重度の叢生においてはマウスピース矯正が第一選択にならない場合があることを覚えておきましょう。 混合歯列期である 混合歯列期のマウスピース矯正は適当な方法とは言えません。 混合歯列期とは歯が乳歯から永久歯へ移行する時期で、いわゆる子供の歯の生え変わりの時期を指します。 実際の年齢で、6歳〜12歳の小学生の時期です。 混合歯列期の歯の状態は未完成で、永久歯が将来どのように生えそろっていくのか予想がつきません。 未完成ゆえに無理にマウスピース矯正することで、思った通りの歯並びにならない可能性も充分に考えられます。 むしろ歯並びが悪くなってしまう危険性も考慮しなければなりません。 成長期後の歯並びに大きく関与するため、できるだけ混合歯列期のマウスピース矯正は避けた方が良いでしょう。 インプラントが入っている インプラントが入っている方にマウスピース矯正が適用されない場合があります。本数にもよりますが、インプラントで固定された歯は動かせないため、その歯は矯正できないからです。 インプラントでは、失った歯の根っこ(歯根)の代わりに人工歯根を使用します。直接顎の骨に埋め込むことで、歯をがっちりと固定できる方法です。インプラントが入っているからと言って直ちに矯正の適用外になるわけではありません。しかし、インプラントの数が多ければ多いほど制限も増えてしまうため、矯正の適用外になってしまう可能性が高まります。マウスピース矯正を検討する際は、インプラントの状況や本数をよく確認しましょう。 外科手術が必要である 外科手術が必要な症例とは、主に骨格自体に異常が見られる場合です。 重度の過蓋咬合(いわゆるオーバーバイト)、下顎前突(いわゆる受け口)、上顎前突(いわゆる出っ歯)が代表例として挙げられます。 外科手術が必要ということは、つまり骨格レベルで改善しなければいけないほどの状態ということです。 これらの状態を改善するためには、単に歯並びを矯正すれば良いわけではありません。 複数の歯の抜歯をしたり、必要があれば外科的な処置として顎の骨を削ることになります。 外科手術とマウスピースの矯正における目的は近いですが、その過程や規模は全く別です。 マウスピースでは歯並びの矯正はできても骨格の矯正まではできないことを理解しておきましょう。 マウスピース矯正ができない場合の治療法 ワイヤー矯正 ワイヤー矯正は適用範囲の広い症例に適用され、治療効果が高い方法です。 マウスピース矯正と比較して以下のような点が優れています。 治療効果が高い…ワイヤーによる歯を引っ張る力はマウスピースよりも強力。 適用症例の範囲が広い…複数抜歯や骨格異常にも適応できることが多い。 矯正器具の管理は難しくない…取り外しが不要なので、破損や紛失の心配がない。 治療費が安い…通常のワイヤー矯正であればマウスピースよりも安く行える。 とくに、複数の抜歯が必要な症例や骨格に異常がある場合などはワイヤー矯正が選択されます。 ワイヤー矯正は規模の大きい歯体移動が可能で、歯全体の移動や抜歯後の歯間調節に向いている矯正方法と言えるからです。 また、小児の症例ではマウスピースの管理が大変であったり紛失してしまうケースが多く見られます。 ワイヤー矯正は器具の取り外しが不要で管理は難しくないため、小児の症例にも適しているでしょう。 外科矯正 先述した通り、骨格に異常が見られる場合はマウスピースでは矯正できないため、外科的矯正治療が必要になります。 外科的矯正は顎の骨の手術と並行して嚙み合わせを改善する方法です。 この方法は、歯並びだけでなく上下の顎の位置やバランスが悪い場合に、骨格レベルで矯正が必要な症例で適用されます。 以下の症例では、外科的矯正治療が必要です。 過蓋咬合……別名ディープバイトと呼ばれています。上下の歯の重なりが深く、重度だと正面から下の歯が見えません。下の歯に叢生があり、噛む力が強い人に多い状態です。顎の動きに制限が加えられてしまったり、顎に痛みが出ることがあります。 下顎前突……受け口の状態。下顎が大きく発達した場合や、上顎が小さい人に見られます。噛み合わせが悪くなり、顎の痛みが出ることがあります。また、見た目のコンプレックスを持つ方が多いケースです。 上顎前突……出っ歯の状態。約70%の症例で、下顎が小さいことが原因だと言われています。下顎前突と同様に、噛み合わせやコンプレックスが問題となります。 顔面非対称……顎が歪んでいる状態。上下の顎の歪みが原因で、開口時や閉口時、咀嚼時等に支障をきたします。噛み合わせ以外に滑舌にも影響があることがあります。上下の顎の歪みが顔の歪みに直結するため、見た目のコンプレックスが問題になることが多いケースです。 自分の症状を把握して適切な矯正メニューを選ぼう マウスピース矯正ができない6つの具体例とその対処方法を説明しました。 マウスピース矯正は負担や痛みが少なく、歯を清潔に保ったまま矯正できる方法です。 また、目立ちにくいため見た目に悩むこともなく矯正できるでしょう。 ただし、歯や歯茎の状態によっては適用されない場合があります。 歯の大幅な移動や骨格異常の改善には適さない方法であるため注意が必要です。 ライフスタイルや条件によって、それぞれ適切な矯正メニューは全く違います。 また、マウスピース矯正に適応がない場合でも、他に方法があるでしょう。 マウスピース矯正を検討する際は、自分の口腔状態を細かく確認し、自分の状態に合った方法を選択してください。 PREV NEXT
マウスピース矯正ができない6つの具体例を解説【歯科医監修】治療できない場合の対処方法についても紹介
マウスピース矯正ができない6つの具体例を解説【歯科医監修】治療できない場合の対処方法についても紹介
マウスピース矯正は、透明で目立たず体への負担が少ないため、矯正人口が増加傾向にある方法です。
マウスピース矯正の主なメリットは以下のようなものがあります。
しかし、マウスピース矯正は誰でもできる矯正方法ではありません。
「自分はできるのだろうか……」「できない場合は諦めるしかないのか……」と、不安を感じていませんか?
そんな方のために、マウスピース矯正ができない例とその対処法について紹介します。
ぜひこの記事を参考に、ご自身ができない例に当てはまるか確認してみてください。
なぜマウスピース矯正ができないケースがあるのか
マウスピース矯正は、歯全体を大きく動かすのではなくピンポイントに作用させる矯正方法です。
取り外し可能なので歯を磨きやすい、マウスピースは透明で目立ちにくいといったメリットがあります。
しかし、歯を大きく動かすことを苦手とする方法でもあります。
その特徴から、適用となる症例が限られ矯正できないケースがあります。
実際にどのような事例がマウスピース矯正に適していないのか解説します。
マウスピース矯正ができない事例6選
重度の歯周病
重度の歯周病になっている方は、マウスピース矯正が適用されない可能性があります。
重度の歯周病のままマウスピース矯正をしてしまうと、歯周病がさらに悪化する原因になるからです。
歯周病では歯茎が痛むだけでなく、歯の根元の骨(歯槽骨)や組織が溶けていきます。
最終的に、グラついた歯は抜け落ちてしまうのです。また、歯周病が進行している状態での歯の移動はできません。
根元の歯や組織が壊れてしまうことで移動しても固定できないからです。
マウスピース矯正を検討している場合は、先に歯周病を改善しておく必要があります。
多くの抜歯が必要
マウスピース矯正は歯体移動の距離が短いため、多くの抜歯が必要なケースに向きません。
歯体移動とは、大きなスペースを埋めるための歯の平行移動のことです。
抜歯する本数が多いと、その分スペースが広くなるため、歯体移動の距離も長くなります。
抜く本数によってはマウスピース矯正の適用に入らない可能性があるので注意が必要です。
また、抜歯数が多い時に無理に行ってしまうと、無駄に多くの治療費や治療期間を要してしまう可能性があります。
思うような結果が得られないといったことを避けるためにも、事前に必ず確認しましょう。
重度の叢生である
叢生とは、先天的又は後天的な理由で歯並びが乱れ、ガタガタになっている状態です。
顎の小さい人や歯のサイズが大きい人に見られる「歯間の空間不足」が原因と言われています。
重度の叢生を矯正するためには、歯全体の大幅な歯体移動が必要です。
また、歯間を広くするために、人によっては複数の抜歯が必要になります。
マウスピース矯正は大規模な歯体移動や、複数の抜歯が必要な場合には適しません。
基本的に叢生にもマウスピース矯正は適用されますが、重度の叢生においてはマウスピース矯正が第一選択にならない場合があることを覚えておきましょう。
混合歯列期である
混合歯列期のマウスピース矯正は適当な方法とは言えません。
混合歯列期とは歯が乳歯から永久歯へ移行する時期で、いわゆる子供の歯の生え変わりの時期を指します。
実際の年齢で、6歳〜12歳の小学生の時期です。
混合歯列期の歯の状態は未完成で、永久歯が将来どのように生えそろっていくのか予想がつきません。
未完成ゆえに無理にマウスピース矯正することで、思った通りの歯並びにならない可能性も充分に考えられます。
むしろ歯並びが悪くなってしまう危険性も考慮しなければなりません。
成長期後の歯並びに大きく関与するため、できるだけ混合歯列期のマウスピース矯正は避けた方が良いでしょう。
インプラントが入っている
インプラントが入っている方にマウスピース矯正が適用されない場合があります。本数にもよりますが、インプラントで固定された歯は動かせないため、その歯は矯正できないからです。
インプラントでは、失った歯の根っこ(歯根)の代わりに人工歯根を使用します。直接顎の骨に埋め込むことで、歯をがっちりと固定できる方法です。インプラントが入っているからと言って直ちに矯正の適用外になるわけではありません。しかし、インプラントの数が多ければ多いほど制限も増えてしまうため、矯正の適用外になってしまう可能性が高まります。マウスピース矯正を検討する際は、インプラントの状況や本数をよく確認しましょう。
外科手術が必要である
外科手術が必要な症例とは、主に骨格自体に異常が見られる場合です。
重度の過蓋咬合(いわゆるオーバーバイト)、下顎前突(いわゆる受け口)、上顎前突(いわゆる出っ歯)が代表例として挙げられます。
外科手術が必要ということは、つまり骨格レベルで改善しなければいけないほどの状態ということです。
これらの状態を改善するためには、単に歯並びを矯正すれば良いわけではありません。
複数の歯の抜歯をしたり、必要があれば外科的な処置として顎の骨を削ることになります。
外科手術とマウスピースの矯正における目的は近いですが、その過程や規模は全く別です。
マウスピースでは歯並びの矯正はできても骨格の矯正まではできないことを理解しておきましょう。
マウスピース矯正ができない場合の治療法
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は適用範囲の広い症例に適用され、治療効果が高い方法です。
マウスピース矯正と比較して以下のような点が優れています。
とくに、複数の抜歯が必要な症例や骨格に異常がある場合などはワイヤー矯正が選択されます。
ワイヤー矯正は規模の大きい歯体移動が可能で、歯全体の移動や抜歯後の歯間調節に向いている矯正方法と言えるからです。
また、小児の症例ではマウスピースの管理が大変であったり紛失してしまうケースが多く見られます。
ワイヤー矯正は器具の取り外しが不要で管理は難しくないため、小児の症例にも適しているでしょう。
外科矯正
先述した通り、骨格に異常が見られる場合はマウスピースでは矯正できないため、外科的矯正治療が必要になります。
外科的矯正は顎の骨の手術と並行して嚙み合わせを改善する方法です。
この方法は、歯並びだけでなく上下の顎の位置やバランスが悪い場合に、骨格レベルで矯正が必要な症例で適用されます。
以下の症例では、外科的矯正治療が必要です。
自分の症状を把握して適切な矯正メニューを選ぼう
マウスピース矯正ができない6つの具体例とその対処方法を説明しました。
マウスピース矯正は負担や痛みが少なく、歯を清潔に保ったまま矯正できる方法です。
また、目立ちにくいため見た目に悩むこともなく矯正できるでしょう。
ただし、歯や歯茎の状態によっては適用されない場合があります。
歯の大幅な移動や骨格異常の改善には適さない方法であるため注意が必要です。
ライフスタイルや条件によって、それぞれ適切な矯正メニューは全く違います。
また、マウスピース矯正に適応がない場合でも、他に方法があるでしょう。
マウスピース矯正を検討する際は、自分の口腔状態を細かく確認し、自分の状態に合った方法を選択してください。