TOP BLOG なぜ歯は動く?歯科矯正の仕組みを詳しく解説! なぜ歯は動く?歯科矯正の仕組みを詳しく解説! 歯並びを整えるために歯を動かす歯列矯正。ワイヤーを使ったり、マウスピースを使ったりと、歯並びを治す手法も様々。そもそもどのように歯並びが整っていくのか気になりますよね。今回の記事では、歯列矯正によって歯が動き歯並びが整っていく仕組みを解説していきます! 目次 Toggle 歯ってどんな構造?歯科矯正で歯が動く仕組み①矯正装置を付ける(歯に力がかかる)②歯が動く③安定する歯科矯正の流れむし歯や歯周病がある場合は?歯を動かす期間が終わったら?まとめ 歯ってどんな構造? まず歯が動く仕組みをご説明する前に、歯の構造を知っておきましょう。歯は、歯槽骨(しそうこつ)と呼ばれる骨によって支えられています。この歯槽骨の量が減ると、歯を支えきれなくなり歯が揺れたり抜けたりしてしまいます。 歯の周りには歯槽骨だけでなく、歯根膜(しこんまく)と呼ばれる膜もあります。歯根膜は薄く弾力があり、歯と歯を支えている歯槽骨の間にあります。 例えば食事のときなど、噛むことで歯には強い力がかかりますが、その衝撃を和らげるのが歯根膜の役割。自動車でいうエアバッグのような役割を果たしています。実はこの歯根膜があるからこそ、歯科矯正で歯を動かすことができるのです。 歯科矯正で歯が動く仕組み 歯の構造がわかったところで、歯が動く仕組みを見ていきましょう。歯科矯正によって歯がきれいに並んでいくとき、①矯正装置をつける(歯に力がかかる) ②歯が動く ③安定する の3つの段階を順に進んでいきます。 ①矯正装置を付ける(歯に力がかかる) 矯正装置を歯に付けると、歯に力がかかります。歯に力がかかると、歯の周りにある歯根膜にその刺激が伝わります。歯根膜は部位によって伸びたり縮んだりすることで、歯にかかった力に対応していきます。 ②歯が動く 歯根膜には、一定の厚さを保とうとする性質があります。矯正装置を付けたことで歯に力がかかり、それにより伸びた歯根膜は元に戻ろうと(縮もうと)します。縮んだ歯根膜も元に戻ろうと(伸びようと)します。組織にはスペースが限られているため、この動きを助けようと骨を作る細胞・骨を溶かす細胞が増加します。 骨を作る細胞・骨を溶かす細胞が増えることで、歯根膜は望み通り元の厚さに戻ることができます。ワイヤー矯正ならワイヤーをさらに締める、マウスピース矯正なら形の違うマウスピースを嵌めることで、この①と②の動きが繰り返され、歯は少しずつ動いていきます。 例えば箱の中に同じ大きさ・形の本をみっちり詰めると、1冊1冊を動かそうとしてもなかなか動きません。しかし本と本の間に隙間を作ったり柔らかい素材のものを挟んだりしておくと、簡単に動かすことができますよね。これと同じで、硬い歯と硬い歯槽骨がくっついていると歯は動きませんが、間に弾力のある歯根膜があると歯を動かすことができるのです。 もし事故などで歯を強くぶつけたことにより歯根膜の機能が失われていると、歯と歯を支えている歯槽骨がくっついた状態となり、歯科矯正をしても歯は動かない場合があります。また、早く歯を動かす目的で、無理に歯を強い力かけて動かしてしまうと、不適切な強い力は歯根膜を変性させてしまい、歯が動かなくなってしまうこともあります。 なお骨を作る細胞・骨を溶かす細胞の活躍は、歯科矯正に限ったことではありません。全身においても同じように骨を作ったり溶かしたりが繰り返されています。これにより限られたスペースの中でも骨は生まれ変わり、質を維持することができているのです。 また、この歯を動かす期間に、「歯に締め付け感を感じる」「かたいものをかむとじんわり痛い」などの症状が出ることがあります。歯に力を加え、歯根膜が望み通り元の厚さに戻る数日~1週間程度が痛みや違和感のピークで、徐々に痛みが落ち着くことが多いです。 ちなみに、マウスピース矯正はワイヤー矯正に比べると緩徐的に歯を動かしていくので個人差はありますが、ワイヤー矯正に比べると痛みの度合いは少ないと言われています。 痛みに弱い方はマウスピースをお勧めします! マウスピース矯正のDPEARL ①・②の、歯を積極的に動かしていく期間を「動的治療期間」と言います。この期間は、患者のもともとの歯並びや矯正手法によって様々ですが、一般的に半年〜3年ほどのことか多いです。 ③安定する 歯に力をかけても、すぐに骨が溶けたり作られたりするわけではないため、矯正装置を少し付けただけでは移動した歯は安定しません。 そこで、歯の移動が一通り終わったら、完成した歯並びを安定させるために「静的治療期間」を設けます。この期間はおよそ1〜2年で、必要に応じて、リテーナーと呼ばれる歯並びを安定(保定)させるための装置を付けます。リテーナーの形状も、ワイヤーを使用したものであったりマウスピース型であったり様々です。 つまり、理想の歯並びになればすぐに終了というわけではありません。定期的なメンテナンスを続ければ、歯並びが安定し、ほぼ永久的にお口周りの美しさを維持することができます。しかし逆にメンテナンスを怠ると、矯正前の歯並びに戻ってしまうこともあります。 歯科矯正の流れ 歯科矯正の流れは以下のようなものが一般的です。 カウンセリング 歯の検査 歯のクリーニング・治療 矯正装置の作製・装着 定期的な調整 メンテナンス むし歯や歯周病がある場合は? 歯科矯正前の検査でむし歯や歯周病が見つかった場合は、そちらの治療を先に行います。矯正中に虫歯治療を行うのは難しかったり、むし歯や歯周病が矯正期間に悪化する可能性もあります。 歯を動かす期間が終わったら? 歯を動かす期間が終わってからも、それまでの努力が無駄にならないよう、リテーナーを装着し、メンテナンスは必ず受けるようにしましょう。 まとめ 歯科矯正において、歯が動く仕組みについて理解していただけましたか?歯が動く仕組みを理解して歯科矯正に取り組めれば、より一層変化を実感できるかもしれませんね。 また、歯の動き方はもちろん、今回の記事では『動かした歯を安定させる』重要性もご理解いただけたらうれしいです。矯正終了後も、メンテナンスを欠かさないことが、きれいに並んだ歯並びを保ち続ける秘訣です。 前の記事 気になる口臭…原因と予防策を徹底解説 次の記事 マウスピース矯正に効果はある?効果を感じられるまでの期間と注意点
なぜ歯は動く?歯科矯正の仕組みを詳しく解説!
歯並びを整えるために歯を動かす歯列矯正。ワイヤーを使ったり、マウスピースを使ったりと、歯並びを治す手法も様々。そもそもどのように歯並びが整っていくのか気になりますよね。今回の記事では、歯列矯正によって歯が動き歯並びが整っていく仕組みを解説していきます!
目次
歯ってどんな構造?
まず歯が動く仕組みをご説明する前に、歯の構造を知っておきましょう。歯は、歯槽骨(しそうこつ)と呼ばれる骨によって支えられています。この歯槽骨の量が減ると、歯を支えきれなくなり歯が揺れたり抜けたりしてしまいます。

歯の周りには歯槽骨だけでなく、歯根膜(しこんまく)と呼ばれる膜もあります。歯根膜は薄く弾力があり、歯と歯を支えている歯槽骨の間にあります。
例えば食事のときなど、噛むことで歯には強い力がかかりますが、その衝撃を和らげるのが歯根膜の役割。自動車でいうエアバッグのような役割を果たしています。実はこの歯根膜があるからこそ、歯科矯正で歯を動かすことができるのです。
歯科矯正で歯が動く仕組み
歯の構造がわかったところで、歯が動く仕組みを見ていきましょう。歯科矯正によって歯がきれいに並んでいくとき、①矯正装置をつける(歯に力がかかる) ②歯が動く ③安定する の3つの段階を順に進んでいきます。
①矯正装置を付ける(歯に力がかかる)
矯正装置を歯に付けると、歯に力がかかります。歯に力がかかると、歯の周りにある歯根膜にその刺激が伝わります。歯根膜は部位によって伸びたり縮んだりすることで、歯にかかった力に対応していきます。
②歯が動く
歯根膜には、一定の厚さを保とうとする性質があります。矯正装置を付けたことで歯に力がかかり、それにより伸びた歯根膜は元に戻ろうと(縮もうと)します。縮んだ歯根膜も元に戻ろうと(伸びようと)します。組織にはスペースが限られているため、この動きを助けようと骨を作る細胞・骨を溶かす細胞が増加します。
骨を作る細胞・骨を溶かす細胞が増えることで、歯根膜は望み通り元の厚さに戻ることができます。ワイヤー矯正ならワイヤーをさらに締める、マウスピース矯正なら形の違うマウスピースを嵌めることで、この①と②の動きが繰り返され、歯は少しずつ動いていきます。
例えば箱の中に同じ大きさ・形の本をみっちり詰めると、1冊1冊を動かそうとしてもなかなか動きません。しかし本と本の間に隙間を作ったり柔らかい素材のものを挟んだりしておくと、簡単に動かすことができますよね。これと同じで、硬い歯と硬い歯槽骨がくっついていると歯は動きませんが、間に弾力のある歯根膜があると歯を動かすことができるのです。
もし事故などで歯を強くぶつけたことにより歯根膜の機能が失われていると、歯と歯を支えている歯槽骨がくっついた状態となり、歯科矯正をしても歯は動かない場合があります。また、早く歯を動かす目的で、無理に歯を強い力かけて動かしてしまうと、不適切な強い力は歯根膜を変性させてしまい、歯が動かなくなってしまうこともあります。
なお骨を作る細胞・骨を溶かす細胞の活躍は、歯科矯正に限ったことではありません。全身においても同じように骨を作ったり溶かしたりが繰り返されています。これにより限られたスペースの中でも骨は生まれ変わり、質を維持することができているのです。
また、この歯を動かす期間に、「歯に締め付け感を感じる」「かたいものをかむとじんわり痛い」などの症状が出ることがあります。歯に力を加え、歯根膜が望み通り元の厚さに戻る数日~1週間程度が痛みや違和感のピークで、徐々に痛みが落ち着くことが多いです。
ちなみに、マウスピース矯正はワイヤー矯正に比べると緩徐的に歯を動かしていくので個人差はありますが、ワイヤー矯正に比べると痛みの度合いは少ないと言われています。
痛みに弱い方はマウスピースをお勧めします!
①・②の、歯を積極的に動かしていく期間を「動的治療期間」と言います。この期間は、患者のもともとの歯並びや矯正手法によって様々ですが、一般的に半年〜3年ほどのことか多いです。
③安定する
歯に力をかけても、すぐに骨が溶けたり作られたりするわけではないため、矯正装置を少し付けただけでは移動した歯は安定しません。
そこで、歯の移動が一通り終わったら、完成した歯並びを安定させるために「静的治療期間」を設けます。この期間はおよそ1〜2年で、必要に応じて、リテーナーと呼ばれる歯並びを安定(保定)させるための装置を付けます。リテーナーの形状も、ワイヤーを使用したものであったりマウスピース型であったり様々です。
つまり、理想の歯並びになればすぐに終了というわけではありません。定期的なメンテナンスを続ければ、歯並びが安定し、ほぼ永久的にお口周りの美しさを維持することができます。しかし逆にメンテナンスを怠ると、矯正前の歯並びに戻ってしまうこともあります。
歯科矯正の流れ
歯科矯正の流れは以下のようなものが一般的です。
むし歯や歯周病がある場合は?
歯科矯正前の検査でむし歯や歯周病が見つかった場合は、そちらの治療を先に行います。矯正中に虫歯治療を行うのは難しかったり、むし歯や歯周病が矯正期間に悪化する可能性もあります。
歯を動かす期間が終わったら?
歯を動かす期間が終わってからも、それまでの努力が無駄にならないよう、リテーナーを装着し、メンテナンスは必ず受けるようにしましょう。
まとめ
歯科矯正において、歯が動く仕組みについて理解していただけましたか?歯が動く仕組みを理解して歯科矯正に取り組めれば、より一層変化を実感できるかもしれませんね。
また、歯の動き方はもちろん、今回の記事では『動かした歯を安定させる』重要性もご理解いただけたらうれしいです。矯正終了後も、メンテナンスを欠かさないことが、きれいに並んだ歯並びを保ち続ける秘訣です。
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