TOP BLOG 出っ歯の矯正方法と費用|ワイヤー矯正・マウスピース矯正の違いを解説 出っ歯の矯正方法と費用|ワイヤー矯正・マウスピース矯正の違いを解説 笑ったときに前歯が突き出て見える「出っ歯」に悩んでいませんか? 出っ歯(でっぱ)は見た目のコンプレックスになるだけでなく、噛み合わせや口の健康にも影響を与えることがあります。しかし、歯科矯正が進歩し、出っ歯も矯正で改善できるようになってきたため、まずは正しい知識を持って自分に合った治療法を選ぶことが大切です。この記事では、出っ歯の原因や矯正方法、特に目立ちにくいマウスピース矯正のメリット・デメリットについて解説します。出っ歯を治したいと考えている方は、ぜひ参考にしてくださいね。 目次 Toggle 出っ歯とは?出っ歯の定義と特徴出っ歯の原因出っ歯が与える影響(見た目・健康・発音など)出っ歯の矯正方法ワイヤー矯正マウスピース矯正外科手術が必要なケースマウスピース矯正のメリットとデメリットメリット(目立たない・取り外し可能・痛みが少ない)デメリット(適応できる症例の限界・自己管理が必要)出っ歯矯正を成功させるポイント自分に合った矯正方法を選ぶ費用や期間の目安を把握する矯正中のケアと注意点まとめ 出っ歯とは? 出っ歯の定義と特徴 「出っ歯」とは、上の前歯(または上あご)が下の前歯よりも大きく前方に突出している歯並びのことです。歯科的には上顎前突(じょうがくぜんとつ)と呼ばれ、不正咬合(噛み合わせの異常)の一種に分類されます。軽度の場合は一見わかりにくいこともありますが、重度になると口を閉じても前歯が見えてしまう、横顔で見ると口元が鳥のくちばしのように突き出ている、といった特徴が現れます。 出っ歯の原因 出っ歯になる原因は人それぞれですが、大きく先天的要因と後天的要因に分けられます。先天的要因としては歯やあごの大きさ・骨格の遺伝が挙げられます。例えば「あごの骨に対して歯が大きい」「上あごが前方に成長しやすい骨格」などの遺伝的傾向があると、歯並びが前に突出し出っ歯になりやすくなります。後天的要因としては生活習慣や癖の影響があります。幼少期の指しゃぶりや長期間のおしゃぶり使用、飲み込み時に舌で前歯を押す癖(舌突出癖)、口呼吸の習慣などは、前歯を前方へ押し出す力が常にかかるため、歯並びが前に出てしまう原因になります。このように、生まれつきの要因と日常生活の癖が重なって出っ歯になるケースが多いのです。 出っ歯が与える影響(見た目・健康・発音など) 出っ歯は放置すると見た目だけでなく様々な悪影響を及ぼす可能性があります。特に以下のような点に注意が必要です。 見た目のコンプレックス 前歯が突き出ていると口元が目立ち、横顔のバランスも崩れがちです。口を無理に閉じようとすると顎に梅干じわができたり、表情が強ばって見えることもあります。見た目を気にするあまり、人前で思い切り笑えない・自信を持てないといった心理面の負担にもつながります。 虫歯・歯周病のリスク 歯並びが悪いと歯磨きが行き届きにくく、汚れが溜まりやすくなります。その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まります。特に出っ歯の場合、前歯が前に傾斜しているため歯と歯の間に食べかすが詰まりやすく、注意が必要です。 口が乾きやすい(ドライマウス) 上の前歯が出ていると、意識しないと口唇がきちんと閉じられずポカン口になりがちです。その結果、口の中が乾燥して唾液が減り、口臭や歯周病の原因になることがあります。口呼吸の習慣とも関連し、喉の乾燥や睡眠時無呼吸のリスクが高まる場合もあります。 噛み合わせへの影響 前歯が噛み合わない状態だと、食事の時に食べ物をうまく噛み切れず咀嚼効率が低下します。十分に噛めないまま飲み込むと胃腸に負担がかかり、消化不良の原因にもなります。また、噛み合わせの不均衡から特定の歯に過度な負担がかかり、将来的に歯の寿命を縮める恐れもあります。 発音への影響 前歯の位置異常は発音にも影響することがあります。特に「サ行」や「タ行」など舌先を使う音が発音しにくい場合があります。前歯が邪魔をして舌が正しい位置に届かず、空気が漏れるような発音になってしまうことがあるのです。その結果、会話に支障を感じたり、人前で話すことに苦手意識を持つ原因になることもあります。 このように、出っ歯をそのままにしておくと様々なデメリットがあります。裏を返せば、出っ歯を矯正で改善することは見た目のコンプレックス解消だけでなく、口腔の健康維持や日常生活の質向上にもつながると言えるでしょう。 出っ歯の矯正方法 出っ歯を改善するには、歯科矯正によって前歯の位置や噛み合わせを正しい位置に整えるのが一般的です。矯正治療にはいくつかの方法がありますが、代表的なものとしてワイヤー矯正(ブラケット矯正)とマウスピース矯正があります。それぞれ仕組みや特徴が異なるため、自分に合った方法を選ぶことが重要です。ここでは出っ歯矯正に用いられる主な方法について解説します。 ワイヤー矯正 ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットという小さな装置を取り付け、そこにワイヤーを通して歯を引っ張ったり押したりすることで歯並びを整える矯正法です。 一般的な金属ブラケットのほか、目立ちにくい白いセラミックブラケットや歯の裏側に装置を付ける方法もあります。ワイヤー矯正はあらゆる症例に対応しやすいのが大きなメリットで、中程度〜重度の出っ歯でも対応可能です。歯科医師が細かな力加減をコントロールできるため、大きく歯を動かす必要があるケースや、軽度の顎の骨格的ずれを伴うケースでも適用しやすいです。治療期間は症状にもよりますが、全体矯正では約1年半~3年ほどかかることが多いでしょう。費用は装置の種類にもよりますが約80~120万円程度が目安です(クリニックによって異なります)。デメリットとしては、装置が目立ちやすい・取り外しができないため食事や歯磨きがやや不便・定期的な調整時に痛みを感じることがある、といった点が挙げられます。ただし確実に歯を動かせる方法であり、重度の出っ歯の矯正には現在もスタンダードに用いられています。 マウスピース矯正 マウスピース矯正は、透明なマウスピース型の矯正装置(アライナー)を歯に装着して徐々に歯並びを整える方法です。 マウスピース矯正の一番の特徴は、装置が取り外し可能であることです。食事や歯磨きの際は自分で外せるため、普段とほぼ同じ感覚でお食事や口腔ケアができます。また装置が透明で薄いため装着していてもほとんど目立ちません。そのため、人に気付かれずにこっそり矯正したいという方にぴったりの方法です。痛みの感じ方には個人差がありますが、ワイヤー矯正に比べてマウスピース矯正は痛みが少ないと感じる方が多いようです(ワイヤーの調整による強い締め付けが無いため)。 一方で、適用できる症例にはある程度の限界があります。歯のねじれが極端に強い場合や、顎の骨格そのものに大きなずれがある場合などはマウスピース矯正だけでは対応が難しく、ワイヤー矯正や外科手術との併用を提案されることもあります。また後述するように、患者さま自身が装置の着脱と装着時間の管理をしっかり行う必要がある点も注意です。マウスピース矯正の治療期間は、ケースにもよりますが軽度の出っ歯なら約6ヶ月~1年、重度の場合は1年半~2年程度が目安です。費用は約50~100万円前後が一般的で、症例の難易度や使用する製品によって上下します(部分矯正の場合は数十万円に抑えられることもあります)。ワイヤー矯正とマウスピース矯正、それぞれに特徴がありますので、気になる方は比較記事も参考にしてみてください。 あわせて読みたい マウスピース矯正のメリット・デメリット|ワイヤー矯正との違いを徹底比較 歯科矯正とは 矯正歯科治療とは、悪い歯並びや咬み合わせなどのトラブルを無くし、キレイな歯並びにすることを言います。 悪い歯並びは、見た目の美しさに欠けるだけではなく、歯磨きがしにくいため虫歯や歯周病などの口腔トラブルを引 […] 外科手術が必要なケース 出っ歯の程度が非常に重度で、骨格的な問題(上あごと下あごの位置関係の大きなずれ)がある場合、矯正治療に外科手術(外科的矯正治療)を併用するケースがあります。例えば、上あご自体が前方に突出している骨格性の出っ歯(骨格性上顎前突)では、マウスピースやワイヤーで歯だけ動かしても限界があり、外科手術で骨格を調整する必要が生じることがあります。 外科手術が必要かどうかは矯正専門医の判断によりますが、一般的な歯並びの範囲を超えて上下の顎の位置ずれが大きい場合が対象です。具体的には、上顎の位置を後方に下げる外科手術や、逆に下顎を前方に出す手術を行った上で、仕上げに歯並びを整える矯正治療を行います。手術を伴う矯正は身体的・経済的負担も大きくなりますが、重度の出っ歯を根本的に改善できる方法です。幸い、ほとんどの出っ歯は手術なしで矯正治療のみで改善可能と言われていますので、まずは矯正歯科で相談してみるとよいでしょう。医師が検査を行い、手術の必要があるかどうか含め最適な治療計画を提案してくれます。 マウスピース矯正のメリットとデメリット 前述のように、最近はマウスピース矯正を選ぶ方が増えています。ここでは特にマウスピース矯正に焦点を当てて、メリットとデメリットを整理してみましょう。実際に出っ歯の矯正法として検討する際の参考にしてください。 メリット(目立たない・取り外し可能・痛みが少ない) 1.装置が透明で目立たない マウスピース矯正最大のメリットは、何と言っても装置が目立たないことです。薄い透明なマウスピースを歯にはめるだけなので、装着していても他人からはほとんどわかりません。接客業や人前に出るお仕事をされている方でも、見た目を気にせず矯正を続けられるでしょう。鏡を見ても装置がキラッと光ったりしないので、矯正期間中の笑顔に自信が持てるのは嬉しいポイントですね。 2.自由に取り外しでき衛生的 マウスピース矯正は自分で簡単に装置を取り外せます。食事の際は外して普段どおりお食事ができ、装置が汚れる心配もありません。食べ物の制限(装置を壊す恐れがある硬い物や粘着質な物を避ける等)が少なく、食事を楽しみながら矯正を続けられるのは大きなメリットです。また外して歯磨きができるため、矯正中の歯の清潔を保ちやすいです。ワイヤー矯正のように装置の隙間に食べかすが詰まって歯磨きに苦労する…ということがほとんどありません。矯正期間中も虫歯や口臭をしっかり予防できます。 3.痛みや違和感が比較的少ない 矯正装置による痛みの感じ方には個人差がありますが、一般的にマウスピース矯正は痛みが少ないと言われます。ワイヤー矯正では調整のたびにワイヤーを締め付けるため数日はズキズキした痛みを感じることがありますが、マウスピース矯正では2週間ごと(場合によってはもう少し早いペース)に新しいマウスピースに交換し徐々に歯を動かすため、一度にかかる力が小さく痛みが緩和されやすいのです。また金属のブラケットが口内に当たって口内炎ができる、といったトラブルもありません。装置自体も薄く違和感が少ないため、矯正期間中のストレスが軽減されるでしょう。 デメリット(適応できる症例の限界・自己管理が必要) 1.適応できる症例に限りがある マウスピース矯正は万能ではなく、適応できる症例に限界があります。軽度~中等度の出っ歯であれば多くの場合対応可能ですが、歯の重なりが非常に大きいケース(重度の叢生)や、歯の根元から大きく動かす必要があるケース、顎の骨格そのものに大きなずれがあるケースでは、マウスピース矯正だけでは対応が難しいことがあります。そのため、場合によっては部分的にワイヤー矯正を併用したり、必要に応じて抜歯を行ってスペースを確保する処置が取られることもあります。また、歯並びの状態によってはマウスピース矯正そのものが適さないと診断されることもあり、その場合は無理にマウスピース矯正をせず他の矯正法を選択したほうが安全です。しっかり治すためには、担当医の提案する方法に耳を傾け、自分の症例に合った矯正法を受けるようにしましょう。 2.患者自身の自己管理が重要 マウスピース矯正では、ご自身で装置の管理を徹底する必要があります。基本的にマウスピースは1日20時間以上装着しなければ計画通りに歯が動きません。決められた装着時間を守らず外している時間が長いと、その分だけ治療が遅れたり、最悪場合によっては計画通りに矯正が進まず追加の装置作成が必要になることもあります。また、毎食後の歯磨きやマウスピースの洗浄を怠ると虫歯・歯周病のリスクが上がりますし、装置自体も汚れて目立ってしまいます。さらに、装置を紛失してしまう事故にも注意が必要です(紛失時は装置を再作製する費用と時間がかかります)。このように、マウスピース矯正は患者さまの協力度合いが治療結果に直結します。「ついサボってしまいそうで不安…」という方は、最初から固定式のワイヤー矯正を選んだ方が確実かもしれません。自分の性格や生活スタイルを考慮して選択することも大切ですね。 以上のように、マウスピース矯正には利点・欠点の両方があります。「できるだけ装置を目立たせずに矯正したい」「軽度の不正咬合なのでマウスピースで治療したい」という方にとっては魅力的な方法ですが、「症例によっては適応外もある」「自分で管理する責任が伴う」点も踏まえて検討しましょう。 出っ歯矯正を成功させるポイント 最後に、出っ歯の矯正治療を前向きに進め、満足のいく結果を得るためのポイントを紹介します。 自分に合った矯正方法を選ぶ 矯正治療は一度始めると数ヶ月~数年という長い期間を要します。だからこそ、無理なく続けられる自分に合った矯正方法を選ぶことが成功のカギです。例えば、「多少目立ってもいいから確実に治したい」という方はワイヤー矯正が向いているかもしれませんし、「時間はかかってもいいから目立たない方法でやりたい」という方はマウスピース矯正が合っているかもしれません。また、現在の歯並びの難易度によって適した方法は異なります。信頼できる歯科医師と相談し、自分の症例に最適な治療法を提案してもらいましょう。無理に希望の方法に固執せず、専門家の意見を踏まえて決めることも大切です。そのためには複数のクリニックで話を聞いて比較検討するのも良いでしょう。「ワイヤー矯正しか無理と言われたけど本当?」など不安があれば、マウスピース矯正に実績のある医院でセカンドオピニオンを求めてみるのもおすすめです。 費用や期間の目安を把握する 矯正を始めてから「こんなに時間がかかるとは思わなかった…」「費用が予想以上に膨らんでしまった…」と後悔しないよう、治療にかかるおおよその期間や費用を事前に把握しておきましょう。一般的に部分矯正(前歯だけ等)の場合、治療期間は半年~1年ほどで費用は数十万円程度です。全体矯正(上下全ての歯並びを治す)の場合は、期間は1年半~3年ほど、費用は80~120万円前後が一つの目安です。マウスピース矯正の場合でもワイヤー矯正の場合でも、大きく極端に変わるわけではありませんが、症例の難易度によって追加で期間が延びたり費用がかかることもあります。例えば出っ歯の程度が強く抜歯を伴うケースでは、抜歯スペースが閉じるまで時間が必要なため2年以上かかったり、治療後の保定装置に別途費用がかかる場合もあります。治療前のカウンセリングで、だいたいの治療期間の見通しや総額費用についてしっかり説明を受け、不明点は確認しておきましょう。クリニックによっては分割払いやデンタルローンなども利用できますので、支払い方法についても相談してみると安心です。 矯正中のケアと注意点 矯正治療を成功させるには、治療中のセルフケアと通院の継続も欠かせません。ワイヤー矯正の場合は装置の周りに汚れが溜まりやすいため、普段以上に時間をかけて丁寧に歯磨きしましょう。デンタルフロスや歯間ブラシを活用すると効果的です。また、硬い食べ物(せんべいや堅果類など)や粘着質の食べ物(ガムやキャラメルなど)は装置を破損する恐れがあるため控えてください。万一ブラケットが取れたりワイヤーが外れたりした場合は、自己判断で放置せず速やかに歯科医に連絡しましょう。マウスピース矯正の場合も、装置を外した後の歯磨きを徹底することと、マウスピース自体の洗浄・交換スケジュールを守ることが重要です。着色しやすい飲食物(コーヒーやカレーなど)を摂取した後は装置が染まらないよう軽く口をゆすいでから装着する、熱湯で洗わない(変形防止のため)、外したマウスピースはケースに入れて紛失防止…といった基本的な注意を怠らないようにしましょう。どの矯正方法でも言えることですが、決められた通院ペースを守り、指示された処置(ゴムかけや装置の交換など)をきちんと行うことも大切です。定期的なチェックを受けることでトラブルの早期発見にもつながり、結果的に治療をスムーズに進められます。矯正中は何かと大変に感じることもあるかもしれませんが、ケアを怠らず前向きに取り組むことで理想の歯並びに一歩ずつ近づいていきましょう。 まとめ 出っ歯の矯正について、その概要と方法、マウスピース矯正のメリット・デメリットなどを解説しました。出っ歯は放置すると見た目や健康面で様々なリスクがありますが、適切な矯正治療によって改善が可能です。ワイヤー矯正・マウスピース矯正それぞれに利点がありますので、自分に合った方法で取り組むことが大切です。大人になってからでも遅すぎることはありませんので、少しでも「治したい」という気持ちがあれば専門の歯科医院に相談してみましょう。矯正治療は時間もお金もかかる決断ですが、整った歯並びと自信に満ちた笑顔は一生の宝物になります。まずは一歩踏み出して、プロに現状を診てもらうことから始めてみてください。 前の記事 横顔イケメン診断!あなたのEラインは美しい?条件&チェックポイント徹底解説
出っ歯の矯正方法と費用|ワイヤー矯正・マウスピース矯正の違いを解説
笑ったときに前歯が突き出て見える「出っ歯」に悩んでいませんか? 出っ歯(でっぱ)は見た目のコンプレックスになるだけでなく、噛み合わせや口の健康にも影響を与えることがあります。しかし、歯科矯正が進歩し、出っ歯も矯正で改善できるようになってきたため、まずは正しい知識を持って自分に合った治療法を選ぶことが大切です。この記事では、出っ歯の原因や矯正方法、特に目立ちにくいマウスピース矯正のメリット・デメリットについて解説します。出っ歯を治したいと考えている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
出っ歯とは?
出っ歯の定義と特徴
「出っ歯」とは、上の前歯(または上あご)が下の前歯よりも大きく前方に突出している歯並びのことです。歯科的には上顎前突(じょうがくぜんとつ)と呼ばれ、不正咬合(噛み合わせの異常)の一種に分類されます。軽度の場合は一見わかりにくいこともありますが、重度になると口を閉じても前歯が見えてしまう、横顔で見ると口元が鳥のくちばしのように突き出ている、といった特徴が現れます。
出っ歯の原因
出っ歯になる原因は人それぞれですが、大きく先天的要因と後天的要因に分けられます。先天的要因としては歯やあごの大きさ・骨格の遺伝が挙げられます。例えば「あごの骨に対して歯が大きい」「上あごが前方に成長しやすい骨格」などの遺伝的傾向があると、歯並びが前に突出し出っ歯になりやすくなります。後天的要因としては生活習慣や癖の影響があります。幼少期の指しゃぶりや長期間のおしゃぶり使用、飲み込み時に舌で前歯を押す癖(舌突出癖)、口呼吸の習慣などは、前歯を前方へ押し出す力が常にかかるため、歯並びが前に出てしまう原因になります。このように、生まれつきの要因と日常生活の癖が重なって出っ歯になるケースが多いのです。
出っ歯が与える影響(見た目・健康・発音など)
出っ歯は放置すると見た目だけでなく様々な悪影響を及ぼす可能性があります。特に以下のような点に注意が必要です。
見た目のコンプレックス
前歯が突き出ていると口元が目立ち、横顔のバランスも崩れがちです。口を無理に閉じようとすると顎に梅干じわができたり、表情が強ばって見えることもあります。見た目を気にするあまり、人前で思い切り笑えない・自信を持てないといった心理面の負担にもつながります。
虫歯・歯周病のリスク
歯並びが悪いと歯磨きが行き届きにくく、汚れが溜まりやすくなります。その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まります。特に出っ歯の場合、前歯が前に傾斜しているため歯と歯の間に食べかすが詰まりやすく、注意が必要です。
口が乾きやすい(ドライマウス)
上の前歯が出ていると、意識しないと口唇がきちんと閉じられずポカン口になりがちです。その結果、口の中が乾燥して唾液が減り、口臭や歯周病の原因になることがあります。口呼吸の習慣とも関連し、喉の乾燥や睡眠時無呼吸のリスクが高まる場合もあります。
噛み合わせへの影響
前歯が噛み合わない状態だと、食事の時に食べ物をうまく噛み切れず咀嚼効率が低下します。十分に噛めないまま飲み込むと胃腸に負担がかかり、消化不良の原因にもなります。また、噛み合わせの不均衡から特定の歯に過度な負担がかかり、将来的に歯の寿命を縮める恐れもあります。
発音への影響
前歯の位置異常は発音にも影響することがあります。特に「サ行」や「タ行」など舌先を使う音が発音しにくい場合があります。前歯が邪魔をして舌が正しい位置に届かず、空気が漏れるような発音になってしまうことがあるのです。その結果、会話に支障を感じたり、人前で話すことに苦手意識を持つ原因になることもあります。
このように、出っ歯をそのままにしておくと様々なデメリットがあります。裏を返せば、出っ歯を矯正で改善することは見た目のコンプレックス解消だけでなく、口腔の健康維持や日常生活の質向上にもつながると言えるでしょう。
出っ歯の矯正方法
出っ歯を改善するには、歯科矯正によって前歯の位置や噛み合わせを正しい位置に整えるのが一般的です。矯正治療にはいくつかの方法がありますが、代表的なものとしてワイヤー矯正(ブラケット矯正)とマウスピース矯正があります。それぞれ仕組みや特徴が異なるため、自分に合った方法を選ぶことが重要です。ここでは出っ歯矯正に用いられる主な方法について解説します。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットという小さな装置を取り付け、そこにワイヤーを通して歯を引っ張ったり押したりすることで歯並びを整える矯正法です。
一般的な金属ブラケットのほか、目立ちにくい白いセラミックブラケットや歯の裏側に装置を付ける方法もあります。ワイヤー矯正はあらゆる症例に対応しやすいのが大きなメリットで、中程度〜重度の出っ歯でも対応可能です。歯科医師が細かな力加減をコントロールできるため、大きく歯を動かす必要があるケースや、軽度の顎の骨格的ずれを伴うケースでも適用しやすいです。治療期間は症状にもよりますが、全体矯正では約1年半~3年ほどかかることが多いでしょう。費用は装置の種類にもよりますが約80~120万円程度が目安です(クリニックによって異なります)。デメリットとしては、装置が目立ちやすい・取り外しができないため食事や歯磨きがやや不便・定期的な調整時に痛みを感じることがある、といった点が挙げられます。ただし確実に歯を動かせる方法であり、重度の出っ歯の矯正には現在もスタンダードに用いられています。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明なマウスピース型の矯正装置(アライナー)を歯に装着して徐々に歯並びを整える方法です。
マウスピース矯正の一番の特徴は、装置が取り外し可能であることです。食事や歯磨きの際は自分で外せるため、普段とほぼ同じ感覚でお食事や口腔ケアができます。また装置が透明で薄いため装着していてもほとんど目立ちません。そのため、人に気付かれずにこっそり矯正したいという方にぴったりの方法です。痛みの感じ方には個人差がありますが、ワイヤー矯正に比べてマウスピース矯正は痛みが少ないと感じる方が多いようです(ワイヤーの調整による強い締め付けが無いため)。
一方で、適用できる症例にはある程度の限界があります。歯のねじれが極端に強い場合や、顎の骨格そのものに大きなずれがある場合などはマウスピース矯正だけでは対応が難しく、ワイヤー矯正や外科手術との併用を提案されることもあります。また後述するように、患者さま自身が装置の着脱と装着時間の管理をしっかり行う必要がある点も注意です。マウスピース矯正の治療期間は、ケースにもよりますが軽度の出っ歯なら約6ヶ月~1年、重度の場合は1年半~2年程度が目安です。費用は約50~100万円前後が一般的で、症例の難易度や使用する製品によって上下します(部分矯正の場合は数十万円に抑えられることもあります)。ワイヤー矯正とマウスピース矯正、それぞれに特徴がありますので、気になる方は比較記事も参考にしてみてください。
外科手術が必要なケース
出っ歯の程度が非常に重度で、骨格的な問題(上あごと下あごの位置関係の大きなずれ)がある場合、矯正治療に外科手術(外科的矯正治療)を併用するケースがあります。例えば、上あご自体が前方に突出している骨格性の出っ歯(骨格性上顎前突)では、マウスピースやワイヤーで歯だけ動かしても限界があり、外科手術で骨格を調整する必要が生じることがあります。
外科手術が必要かどうかは矯正専門医の判断によりますが、一般的な歯並びの範囲を超えて上下の顎の位置ずれが大きい場合が対象です。具体的には、上顎の位置を後方に下げる外科手術や、逆に下顎を前方に出す手術を行った上で、仕上げに歯並びを整える矯正治療を行います。手術を伴う矯正は身体的・経済的負担も大きくなりますが、重度の出っ歯を根本的に改善できる方法です。幸い、ほとんどの出っ歯は手術なしで矯正治療のみで改善可能と言われていますので、まずは矯正歯科で相談してみるとよいでしょう。医師が検査を行い、手術の必要があるかどうか含め最適な治療計画を提案してくれます。
マウスピース矯正のメリットとデメリット
前述のように、最近はマウスピース矯正を選ぶ方が増えています。ここでは特にマウスピース矯正に焦点を当てて、メリットとデメリットを整理してみましょう。実際に出っ歯の矯正法として検討する際の参考にしてください。
メリット(目立たない・取り外し可能・痛みが少ない)
1.装置が透明で目立たない
マウスピース矯正最大のメリットは、何と言っても装置が目立たないことです。薄い透明なマウスピースを歯にはめるだけなので、装着していても他人からはほとんどわかりません。接客業や人前に出るお仕事をされている方でも、見た目を気にせず矯正を続けられるでしょう。鏡を見ても装置がキラッと光ったりしないので、矯正期間中の笑顔に自信が持てるのは嬉しいポイントですね。
2.自由に取り外しでき衛生的
マウスピース矯正は自分で簡単に装置を取り外せます。食事の際は外して普段どおりお食事ができ、装置が汚れる心配もありません。食べ物の制限(装置を壊す恐れがある硬い物や粘着質な物を避ける等)が少なく、食事を楽しみながら矯正を続けられるのは大きなメリットです。また外して歯磨きができるため、矯正中の歯の清潔を保ちやすいです。ワイヤー矯正のように装置の隙間に食べかすが詰まって歯磨きに苦労する…ということがほとんどありません。矯正期間中も虫歯や口臭をしっかり予防できます。
3.痛みや違和感が比較的少ない
矯正装置による痛みの感じ方には個人差がありますが、一般的にマウスピース矯正は痛みが少ないと言われます。ワイヤー矯正では調整のたびにワイヤーを締め付けるため数日はズキズキした痛みを感じることがありますが、マウスピース矯正では2週間ごと(場合によってはもう少し早いペース)に新しいマウスピースに交換し徐々に歯を動かすため、一度にかかる力が小さく痛みが緩和されやすいのです。また金属のブラケットが口内に当たって口内炎ができる、といったトラブルもありません。装置自体も薄く違和感が少ないため、矯正期間中のストレスが軽減されるでしょう。
デメリット(適応できる症例の限界・自己管理が必要)
1.適応できる症例に限りがある
マウスピース矯正は万能ではなく、適応できる症例に限界があります。軽度~中等度の出っ歯であれば多くの場合対応可能ですが、歯の重なりが非常に大きいケース(重度の叢生)や、歯の根元から大きく動かす必要があるケース、顎の骨格そのものに大きなずれがあるケースでは、マウスピース矯正だけでは対応が難しいことがあります。そのため、場合によっては部分的にワイヤー矯正を併用したり、必要に応じて抜歯を行ってスペースを確保する処置が取られることもあります。また、歯並びの状態によってはマウスピース矯正そのものが適さないと診断されることもあり、その場合は無理にマウスピース矯正をせず他の矯正法を選択したほうが安全です。しっかり治すためには、担当医の提案する方法に耳を傾け、自分の症例に合った矯正法を受けるようにしましょう。
2.患者自身の自己管理が重要
マウスピース矯正では、ご自身で装置の管理を徹底する必要があります。基本的にマウスピースは1日20時間以上装着しなければ計画通りに歯が動きません。決められた装着時間を守らず外している時間が長いと、その分だけ治療が遅れたり、最悪場合によっては計画通りに矯正が進まず追加の装置作成が必要になることもあります。また、毎食後の歯磨きやマウスピースの洗浄を怠ると虫歯・歯周病のリスクが上がりますし、装置自体も汚れて目立ってしまいます。さらに、装置を紛失してしまう事故にも注意が必要です(紛失時は装置を再作製する費用と時間がかかります)。このように、マウスピース矯正は患者さまの協力度合いが治療結果に直結します。「ついサボってしまいそうで不安…」という方は、最初から固定式のワイヤー矯正を選んだ方が確実かもしれません。自分の性格や生活スタイルを考慮して選択することも大切ですね。
以上のように、マウスピース矯正には利点・欠点の両方があります。「できるだけ装置を目立たせずに矯正したい」「軽度の不正咬合なのでマウスピースで治療したい」という方にとっては魅力的な方法ですが、「症例によっては適応外もある」「自分で管理する責任が伴う」点も踏まえて検討しましょう。
出っ歯矯正を成功させるポイント
最後に、出っ歯の矯正治療を前向きに進め、満足のいく結果を得るためのポイントを紹介します。
自分に合った矯正方法を選ぶ
矯正治療は一度始めると数ヶ月~数年という長い期間を要します。だからこそ、無理なく続けられる自分に合った矯正方法を選ぶことが成功のカギです。例えば、「多少目立ってもいいから確実に治したい」という方はワイヤー矯正が向いているかもしれませんし、「時間はかかってもいいから目立たない方法でやりたい」という方はマウスピース矯正が合っているかもしれません。また、現在の歯並びの難易度によって適した方法は異なります。信頼できる歯科医師と相談し、自分の症例に最適な治療法を提案してもらいましょう。無理に希望の方法に固執せず、専門家の意見を踏まえて決めることも大切です。そのためには複数のクリニックで話を聞いて比較検討するのも良いでしょう。「ワイヤー矯正しか無理と言われたけど本当?」など不安があれば、マウスピース矯正に実績のある医院でセカンドオピニオンを求めてみるのもおすすめです。
費用や期間の目安を把握する
矯正を始めてから「こんなに時間がかかるとは思わなかった…」「費用が予想以上に膨らんでしまった…」と後悔しないよう、治療にかかるおおよその期間や費用を事前に把握しておきましょう。一般的に部分矯正(前歯だけ等)の場合、治療期間は半年~1年ほどで費用は数十万円程度です。全体矯正(上下全ての歯並びを治す)の場合は、期間は1年半~3年ほど、費用は80~120万円前後が一つの目安です。マウスピース矯正の場合でもワイヤー矯正の場合でも、大きく極端に変わるわけではありませんが、症例の難易度によって追加で期間が延びたり費用がかかることもあります。例えば出っ歯の程度が強く抜歯を伴うケースでは、抜歯スペースが閉じるまで時間が必要なため2年以上かかったり、治療後の保定装置に別途費用がかかる場合もあります。治療前のカウンセリングで、だいたいの治療期間の見通しや総額費用についてしっかり説明を受け、不明点は確認しておきましょう。クリニックによっては分割払いやデンタルローンなども利用できますので、支払い方法についても相談してみると安心です。
矯正中のケアと注意点
矯正治療を成功させるには、治療中のセルフケアと通院の継続も欠かせません。ワイヤー矯正の場合は装置の周りに汚れが溜まりやすいため、普段以上に時間をかけて丁寧に歯磨きしましょう。デンタルフロスや歯間ブラシを活用すると効果的です。また、硬い食べ物(せんべいや堅果類など)や粘着質の食べ物(ガムやキャラメルなど)は装置を破損する恐れがあるため控えてください。万一ブラケットが取れたりワイヤーが外れたりした場合は、自己判断で放置せず速やかに歯科医に連絡しましょう。マウスピース矯正の場合も、装置を外した後の歯磨きを徹底することと、マウスピース自体の洗浄・交換スケジュールを守ることが重要です。着色しやすい飲食物(コーヒーやカレーなど)を摂取した後は装置が染まらないよう軽く口をゆすいでから装着する、熱湯で洗わない(変形防止のため)、外したマウスピースはケースに入れて紛失防止…といった基本的な注意を怠らないようにしましょう。どの矯正方法でも言えることですが、決められた通院ペースを守り、指示された処置(ゴムかけや装置の交換など)をきちんと行うことも大切です。定期的なチェックを受けることでトラブルの早期発見にもつながり、結果的に治療をスムーズに進められます。矯正中は何かと大変に感じることもあるかもしれませんが、ケアを怠らず前向きに取り組むことで理想の歯並びに一歩ずつ近づいていきましょう。
まとめ
出っ歯の矯正について、その概要と方法、マウスピース矯正のメリット・デメリットなどを解説しました。出っ歯は放置すると見た目や健康面で様々なリスクがありますが、適切な矯正治療によって改善が可能です。ワイヤー矯正・マウスピース矯正それぞれに利点がありますので、自分に合った方法で取り組むことが大切です。大人になってからでも遅すぎることはありませんので、少しでも「治したい」という気持ちがあれば専門の歯科医院に相談してみましょう。矯正治療は時間もお金もかかる決断ですが、整った歯並びと自信に満ちた笑顔は一生の宝物になります。まずは一歩踏み出して、プロに現状を診てもらうことから始めてみてください。
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